理美容師さんにとって独立開業は一世一代のチャレンジですよね。でも、融資や自己資金など、何から手をつけたらいいの?という方も多いはず。今回はそんな美容師さんのために融資に役立つ知識をまとめてみました。
理・美容室を開業するのにはどれくらい「資金」がかかるの?
美容院の開業資金。どれくらいかかるかご存知ですか?店の条件によって異なる部分もあるのですが、1人スタイリストで手堅くスタートする場合は、運転資金含めて500万円〜1,500万円程かかる場合が多いです。かなりの大金ですので普通の人は自力で全額用意するのは難しい金額ですよね。そこで、利用したいのが「日本政策金融公庫(国金)」の融資制度なんです。
新規で美容院を開業する以上、シャンプー台などの洗髪設備を設置するのは必須になります。これは、多くの都道府県で、美容室には洗髪設備を設置することを条例で義務付けているためです。つまり、水回りの工事にはそれなりに力をいれなくてはいけないでしょう。これらを踏まえ、最低限必要と思われる費用の項目と、金額例を考えてみました。さっそく見てみましょう。
理・美容室開業にあたっての
投資金額(予算)
10〜15坪の物件の場合セット面は1〜4面 シャンプー台は1〜2台。グレード高めの建築資材を使用した場合の場合。
もちろん、こちらはあくまで一例です。工夫次第ではより安くすることも可能です。
・内装工事費(設備費込み) | 9,000,000円 |
・理美容器具費(シャンプー台2台・セット面4面・セット椅子4脚) | 900,000円 |
・物件保証金・敷金 / 礼金 | 500,000円 |
・初期材料費 / 消耗品費(カラー剤やシャンプーなどの初期材料) | 450,000円 |
・広告宣伝費(ホームページ、チラシ、ショップカードや集客サイト掲載料など) | 650,000円 |
・雑費(家電、その他) | 200,000円 |
・運転資金 | 1,000,000円 |
・前払い人件費 | -円 |
必要資金合計 | 12,700,000円 |
※看板/給排水工事費/空調設備費/照明器具/配線工事/消防検査の有無により施工代金は上下します。
理・美容室は「内装工事・設備」にお金がかかるのです。
そして、費用の中で最大のウェイトを占めているのが、不動産関連、工事関連の費用です。例えば飲食店の跡地から美容室に創り変える場合は、解体工事が発生しますので、スケルトンの状態に戻すのに50万円以上の余分なお金がかかってしまいます。また、スケルトンでもガス・水道の引き込みがされていない場合も同じく別途費用が発生します。
施工費用を節約することが重要
これらの費用を節約するには、物件を契約する前に「現地調査」が必須です。しかし、美容室の施工に慣れていない工務店の場合、事前調査で美容室に「向いている物件・向いていない物件」の判断ができない業者も存在しますので、美容室の施工にあたっては美容室の施工実績が多い、信頼できる業者を見つけられるかがポイントとなります。また、信頼できる内装業者が見つかったら、話し合いやメールの交換をまめにするなど、情報収集を欠かさないようにしましょう。
また、多額の資金が必要である以上、自己資金を用意する必要はもちろんあります。いくら用意すればいいかは、その人の事情により異なるので、一概に言えません。目安としては、開業費用の4分の1は用意しておくと安心です。足りない分は、後述する融資制度や知人のつてを頼るなどして調達しましょう。くれぐれも、無理のない資金計画を立てるのが大事です。一気に大きな店をやろうとしても、資金調達も大変ですしオペレーションもできません。着実にいきましょう。
開業融資の流れ(日本政策金融公庫)
- まずは事前に相談しましょう。資金の使い道、返済期間、利率等の相談に乗ってくれる事業資金相談ダイヤルに電話してください
- 電話で納得がいけば、推薦書交付申請に必要な書類の準備に入ってください。
・推薦書交付願 最寄りの日本政策金融公庫に連絡しましょう。郵送してくれます。
・借入申込書 公式ホームページからダウンロードできます。出典:日本政策金融公庫 見積書、関係書類等 施設や設備の概要がわかる書類を用意しましょう。
・企画概要書 公式ホームページからダウンロードできます。
・履歴事項全部証明書 又は登記簿謄本 (法人場合)
その他の必要資料は担当者に電話で確認してください。便利なフォーマットは<こちら> - 推薦書交付の申請を行います。必要な書類をまとめて、都道府県生活衛生主管部(局)に申請を行いましょう。なお、生活衛生営業指導センターが推薦事務を行っている場合があります。その場合、そちらに申請をしてください。
- 推薦状の交付が受けられたら、最寄りの日本政策金融公庫の支店にて、融資の申し込みを行います。必要な書類を用意して、向かいましょう。なお、ホームページからも申し込みを受け付けています。 出典:日本政策金融公庫
- 面談を行います。資金の使い道、事業の状況・計画について聞かれます。営業計画、資産・負債状況のわかる書類を用意してください。
- 面談の結果、融資が決定すると、必要な書類一式が契約センターもしくは支店から送られてきます。書類を記入・提出すれば、手続きは完了します。融資金額は、あらかじめ希望した金融機関の口座に振り込まれます。
- 借入金の返済を行っていきましょう。基本的に月賦払いです。各種返済方法が用意されているので、詳しくは融資を申し込む際に相談しましょう。
理・美容室を開業するために必要な「届出」
融資を受け、資金の調達が確定したら開業手続に進みましょう。店舗の工事、集客広告、スタッフの募集など、やることはたくさんありますがまずは役所への届出です。
保健所への届出は、開業予定日の1週間前までに行う必要があります。
必要書類
• ヘアサロンの平面図(レイアウト)
• 構造、設備の概要
• (法人の場合)会社の登記簿謄本
• 有資格者の免許証
• 従業員名簿
• 従業員の健康診断書(2部)
• 店舗の図面(シャンプー配置入り平面図、2部)
また、届出にあたっては、次の点に注意が必要です。
• 経営者自身が「美容免許」の資格を有している
• 常時2人以上の美容師が働く店舗の場合、管理美容師を置かなければならない(※3年以上の実務経験及び各都道府県が実施する講習の修了が条件)
まとめ
いかがでしたか?理美容室の開業について、資金調達や届け出についてまとめました。夢の実現のために資金集めや開業手続きはしっかりしたいですね。